
知らない場所に行くことが、小さな頃から好きだった。
初めて一人で旅に出たのは、小学4年生で、旅というよりは単なる移動だったけれど、保護者なしで長距離列車に乗れたことで、少し大人になったような気がした。
バイクでの旅、ツーリングに心が支配されるまでの数年間、期間にしてみれば、ほんとに3~4年だったけれど、種村直樹の本を熟読しては、18きっぷを数冊買って、一人で日本全国を放浪した。
小学生~中学生だった僕に、そんなことを許した親が凄いなと、今なら思うけれど、世間は比較的安全で、旅先で出会う人たちも皆親切だった。
宿泊はユースホステルだった。
泊まっているのは大学生が多く、はやり皆、いい人ばかりだった。
カネはないけれど、時間は売るほどあった。
だから各駅停車だけで旅をしようなんて発想ができたんだろう。
あの頃は、普通の夜行列車も日本中を走っていた。
写真は、まだJR発足前の18きっぷ。
北海道まで普通列車で行くなんてことは、当時の僕にとっては当然だったけれど、今やれと言われたら、言った奴をたぶん殴る。
相変わらずカネはないけれど、新幹線や飛行機に乗れる程度の小金は持っている。
その対価として、駅弁を食べながら車窓を眺める余裕を、僕は失ってしまった。
時代もまた、のんきに走る長距離普通列車や普通夜行を排除して久しい。

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