
サマーセーターから黒い下着が透けて見えている、パイオツカイデーなお姉ちゃん軍団を見かけた天下茶屋ステーション。
ああ、パイオツカイデーだと呟き、横目でチラ見しながら観察すると、どうやら韓国からの旅行者っぽい。
彼女たちは切符の買い方が分からないようだった。
そういえば僕は遙か昔の青年期、文法が日本語と同じという理由だけで、第二外国語は韓国語を履修してたんだっけ?
韓流なんて言葉が日本に入ってくる遙か前のメモリー。
文法云々以前に、文字を覚えるのに苦労して、こんなことならアルファベットを使う、フランス語やドイツ語にしておけば良かったと、激しく後悔した記憶が、先月のことみたくよみがえった。
困っているパイオツカイデーに、どこまでいくの?と韓国語で訊いた。
ニッポンバシ!と応えるので、ここだよ、240円と、路線図を指さして、僕は颯爽と改札を抜けた。
しかし連中、礼も言いやがらない。
失礼な奴らだな!と思いつつ振り返ったら、やっぱり券売機の前でオロオロしていた。
何人かは、僕を見ていた。
ここにきて僕は、彼女たちは金額が分からない訳ではなく、単純に切符の買い方が分からなかったのだと気づいた。
行き先も金額も分かるが、券売機の扱いが分からない。
それだけなのに、下手くそな言葉を喋る日本人が、240円!と宣言しつつ視姦して逃げた。
そんな感じで、彼女たちは、僕を見ていた。
穴があったらピストンしたいくらい恥ずかしくなって、ホームで逢わないように、ダッシュで発車間際の電車に乗った。
駆け込み乗車はご遠慮くださいって、車掌がアナウンスした。

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