
流れ出る汗を、酸っぱい臭いがするハンカチで拭いながら一服する、難波の喫煙所。
うんざりするような青空と、街路樹にしがみつく、蝉の声。
プールにでも行きてーなーとぼんやり思考を弄んでいると、携帯が震える。
僕と入れ替わりに帰国できるかもしれないと、妙に浮ついた馴れ馴れしさを発揮する現地法人の男から。
こっちはもう朝夕は寒いんで、サマースーツはダメですよ。
最低気温は10度切ってます。今朝は7度でした。
最高気温も昨日は17度なんで、ぼちぼちコート着てる人もいます。
いやいや、そんなの絶対に嘘だから。
ビルの屋上に設置された温度計は38度って表示してるし。
38度って非武装地帯か!?
みたいなことを一瞬思ったけど、黙っていた。
ありがとうございますー、まぁ滞在は2〜3日の予定なんで、問題ないと思いますよーと、電話を切った。
ほんとに2〜3日の滞在にするために、僕は今、全力で政治力を使っているのだよ。
コートなんてまだ3ヶ月は着るつもりないから。

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